(1)薬にまつわる問題-かかりつけ薬局:現状の問題点と、かかりつけ薬局への期待

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かかりつけ薬局:現状の問題点と、かかりつけ薬局への期待

◆服薬の重複によるトラブル

朝日新聞の記事「薬、もらいすぎ注意 あちこち受診、計36種処方の例も」によると、水戸協同病院では85歳以上の患者の7%が薬の副作用に因って病院に運ばれてくるそうです。

国の厳格な審査を通り、医師によって処方され、薬剤師が調剤した薬にもかかわらず、なぜ病院に運び込まれる自体になるのでしょうか。下記は前述の記事の抜粋です。

医師が処方した多くの薬を患者が飲み続けた結果、具合が悪くなって救急搬送される例が後を絶たない。薬の情報が、医師同士や薬剤師の間で共有されず、重複したり、飲み合わせが悪くなったりするからだ。
朝日新聞:「薬、もらいすぎ注意 あちこち受診、計36種処方の例も」より抜粋

現状では一人の患者が複数の病院にかかり、また複数の薬局を利用しています。通常、患者のカルテは病院ごとに作成されており、他の病院のカルテは確認できません。薬局の薬剤調剤履歴も同様に、他の薬局の履歴は確認できません。そのため例えば、内科医で処方された鎮痛剤と歯科医で処方された鎮痛剤が重複してしまい、想定の2倍の量を服用してしまうケースが起こりえます。

処方された薬が1種類や2種類ならば自分で重複を防ぐことができるかもしれません。しかしお年寄りになるほど服薬する薬の種類が増えます。同記事によれば、「服薬していた高齢者の7割が5種類以上飲んでおり、最も多い人で22種類飲んでいた。」とのことです。若い人であってもこれだけの薬と服用時の注意事項を覚えることは難しいのではないでしょうか。

◆残薬

服用せずに余ってしまった薬のことを残薬といいます。
外食の際に薬を持っておらず、食後の服用ができなかった。そんな経験は誰もがあると思います。そうするとの診察で薬が処方された時に1回分の薬が余ってしまいます。これが残薬です。

残薬には2つの問題があります。

◆自分の判断で服用することはとっても危険

ひとつは前述のような副作用のトラブル。例えば、風邪っぽいので以前処方されて余っていた薬を自分の判断で服用し、その結果さらに具合が悪くなるようなことがあります。

昨年の9月に東京を中心にデング熱が流行しました。症状は風邪に似ていたために解熱剤の「ロキソニン」を服用した人の症状が悪化するという事態が発生しました。

デング熱になると、出血を止める働きをする血小板が減少します。
そのため、鼻の粘膜や内臓での内出血が起きやすくなります。
ロキソニンはさらに血小板の機能を低下させる作用があります。
このため出血を止めることができず、最悪の場合、命を失うこともあるのです。
NHK:「デング熱 解熱剤で重症化も」より抜粋

医療の専門家である医師でも想定していない事態が起こることがあります。まして患者が自分の判断で服用することはとっても危険なことなのです。

◆家計と国家予算

もうひとつの問題はお金の問題です。
薬が余るということは、その分のお金が無駄になります。このお金とは、あなたのお金のことだけでなく、国家予算にも関わってきます。

ある調査によると、残薬を整理することでわが国の医療費が年間約100億~6,500億円ほど削減できるであろうと推計されています。わが国の将来を考えると避けては通れない問題です。
参考「平成27年度厚生労働科学特別研究:医療保険財政への残薬の影響と
その解消方策に関する研究(中間報告)

 

  1. 薬にまつわる問題
  2. かかりつけ薬局とは?
  3. かかりつけ薬局で何が変わるの?
  4. かかりつけ薬局を持つ方法

 

かかりつけ薬局・在宅訪問薬局の薬剤師が仕事で大切にしてること

 

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